Daz StudioにはIrayと3Delightという二種類のレンダラー(画像出力エンジン)が標準搭載されています。ずっとDaz Studioの標準レンダラーは3Delightでしたが、このレンダラーは強力なパソコン利用が前提なので、個人用パソコンではすごく時間がかかると(特にトランスマップを使うマテリアル=髪の毛や、水面、金属などが入ったとき)、不評でもありました。
また、3Delightは、写実的レンダリングをする場合、ライトの組み方に熟練が入り、日曜3Dホビーユーザーがそれをマスターするのは難しい現実があります。
3Delight自体は、PixarのRenderman互換レンダラーとして特に日本のアニメ制作現場で使われる高性能の業務用レンダラーですので、高級な3DS Max, Maya, C4Dにもプラグインとして提供される実績のあるレンダラーです。しかし、特に写実的表現を狙う場合、Dazを使うユーザーのパソコンでは、非力すぎて性能が出し切れないのが現実。
しかし、開発元がDazに3Delightのフルバージョン使用権を無償提供したため、ホビーユーザーには扱いにくい弱点があっても、Daz Studioの中で3Delightは長く標準レンダラーとして用いられてきました。
そんな中、Daz StudioがNvidia社製のグラボ(GPU)を載せていれば、比較的高速レンダリングが可能なIrayレンダラーを載せてからは、ライトの組み方がホビーユーザにもわかりやすく、より容易なこともあり、3DelightのDaz内での人気は落ちました。
まあ、Irayも、今ではNvidia社のグラボが載せられないMacや、グラボがないCPUの内蔵グラボだけのWINパソコンでは猛烈鈍い現実はあるのですがね(そこでNvidiaのグラボがなくてもそこそこ高速に動くレンダラーCycleを持つ、BlenderにDazのシーンを持っていけないかと騒ぐ人がいるわけです。PoserのSuperflyレンダラーも中身は、Cycleレンダラーなので、Poserに持っていくほうが、Blenderに持っていくよりあるいは手間が少ないかもしれませんが、Dazは新世代のモデルはPoser互換を取り払ってしまい、Poserへの移行は、現状非公式プラグインしかなく互換性は・・・)
Daz Studioに搭載されている3Dlightは、変なこと書いてる人もいますが、実際はフルバージョンがそのまま乗っていて、Daz Studioの方でその機能を全部引き出すようにコマンドを作っていない。このため、誰かの作った強化プラグインがないと性能は全部引き出せません。3Delightは本来入門者向けのレンダラーではないので、下手に混乱する機能を開放してユーザーが混乱しないような配慮もあるでしょうが。
DAZ Studioに載っている3Delightは、個人用の非力なパソコンしか無いユーザーが、レンダリング時間の長さでガクッとしないように、高品質モードは使えないようにしています。このためガラスや金属の再現性はいまいちですが、そのへんの制限を取っ払うシェーダーセットやライトセットが有料で売られていたりもします。レンダラーの品質は、レンダラー本体の性能だけではなく、Shaderの性能によるものもありますが、高品質なShaderw使うと処理時間が思いっきり長くなる諸刃の剣でもあります。
まあ、
その一つがこれでした 3Delight用の、高度な写実的描写を可能にするShaderと機能強化ライトのセット
AWE Shading Kit for DAZ Studio and 3delight [Commercial]
有料物として販売されていましたが、現在は会社を変えて無料配布に切り替わりました。
https://www.renderosity.com/mod/freestuff/?search=AWE+Shading+Kit+
3Delightのレンダリングをリアル系に再現するShaderツールなので、トゥーンレンダリング用のトゥーンシェーダーとは全く逆の性格を持つシェーダーセットです
このAwe Shaderに合わせた、環境ドームライト(Environment Light)や、ライトセットもあります。これらの専用付属ライトは、Daz Studioでは、Light Preset → Wowieのフォルダーにインストールされています
Awe Enviromentは、IrayのHDRI画像を使う環境ドームとにたもので、AWEのシェーダーを使う3Deliigtのセットに最適化されたもので、他のライトも、AWE Shaderを使うときに最適化されたライトです
これらの付属ライトは、Awe Shaderの性能が最高に発揮されるように作られていて、Awe Shaderを使う場合は、DAZ Studio標準付属ライトなどだと、レンダリング時間が倍近くかかったりします
使い方は、既存のモデルの3Delight用、あるいはIrayのShaderを、AWE ShaderのそれっぽいプリセットのShaderセットに入れ替え(これどれのセットが最適かが迷う)、できればAWE SHader 付属のライトを使ってシーンを構築するというもの
説明書
docs.daz3d.com/lib/exe/fetch.php/public/read_me/index/55819/55819_awe-surface-1.2-user-guide.pdf
3Delightのガンマを2.2にするなど、細かいレンダリング設定変更もいりますが、このフォーラムも参考に
In-Depth Tutorial for squeezing the best of 3Delight?
ただし、個人パソコンでは、この高度な3Delight強化セットは、レンダリング時間長すぎで使えね~となる可能性があります。
また、Awe Shaderは、ガンマ2.2のガンマ補正を前提にしたShaderシェーダーのため、光沢の出方を強めにしてあり、使う環境によっては、特に人物の肌で、「何このシェーダーテカりすぎじゃん」となることもあるので、Surfaceタブで、Index of Refraction(屈折率)を1.0くらいにしたり、Specular(光沢絡み)の項目の設定数字を下げたりして調整してみてください
皮膚のテカリが妙なので、AWE Shader付属の、光沢消しSpecular Offプリセット(AWE ShaderのSpecular 2の項目を無効化するプリセット)もあるのですが(Specular Offプリセットでも艶は消えます)、
今回は自分の手前勝手な手動での調整
ちなみに、Dazが用意した標準の3Delight用Shaderを持つGenesis 3を、これまたDaz Studioの標準3Delight用ライト、Daz Studioの3Delightの標準設定(ガンマ補正OFF Gamma 1)でレンダリングしてみると、
さて、上のように、Dazは、標準設定として、3Delightの性能を発揮できないようにしていたとしか見えない結果となりました。まあホビーユーザー用のソフトなので、ガンマ(Gamma)1で設定することが、初期の頃の性能の低いマシンでは、有利という判断があってのことだったかもしれませんし、高性能なシェーダー(Shader)もホビーユーザーのマシンでは、処理がおもすぎて実用の速度が出ないから採用しなかったという話もありますが
どちらにせよ、大部分のDaz Studioユーザーが、レンダラー3Delightの実力を過小評価、認識できないまま、Irayレンダラー主流の時代に移行していったわけです
q1:3Delightってダメダメなの?
q2:個人用の非力なパソコンで、フォトリアルなレンダリングをしようとすると、答えはイエスです。品質というより、必要なマシンの性能が相当高くないとダメポ
ただし、トゥーンシェーダーを噛ませて、アニメ風レンダリングをするには、たとえDaz Studioユーザーの持ってる非力なパソコンでも、3Deligtのほうが、早いし、非物理レンダラーであるがゆえ、影の出方をコントロールできたり、効率的な現実があります。日本のアニメ番組で3Delightが広く使われてきている現実がわかるというものです。きちんとアニメシェーダーを設定すれば、3Delightでのトゥーンレンダリングは、個人用のパソコンでも実に高速に行えます。
Dazでは、物理レンダラーのIrayレンダラーにトゥーンシェーダーを噛ませてトゥーンレンダリングという苦行をするより、3Deligtを使うほうが正解です。
2024年2月増補