今では振り向く人もいない、AF時代のオールドニッコール廉価ズーム、Ai AF Zoom Nikkor 28-80mm f/3.5-5.6D <NEW>の雑感 

最初に登場したのは、1995年。半分プラスティックとガラス張り合わせの複合非球面レンズを使い、7枚構成のズームレンズという、レンズの数を増やさず、安価にそこそこの性能が出せるレンズとしての開発。

その後レンズ構成を変更し、8枚構成とし、光学性能に若干手を加え、ピントリングが広めになり、MFの操作性を若干良くした二型(名称は<NEW>とされ、二型の表記なし、またレンズ本体にも<NEW>の表記はないので、中古市場ではピントリングが細いかやや広めかで新旧の違いを判断しよう)が1999年に登場。2006年に販売が終了(Ken Rockwellは2001年までと書いていますが、2006年までというのはドイツではニコンの在庫がそこまであったということかも)

もともと入門機用のキットレンズで、大量生産かつ、コレクター趣味にもならないので生産中止後は値段が暴落、4000円以下だったので試しに中古購入。
ちなみに買ったのは光学構成がレンズ八枚になった<NEW>とされた後期型(ピントリングが幅広いのが二型)

現在のレンズと過去のレンズが、実際どれくらい自分の使う条件での実写の性能で異なるか、比較参考資料としての購入。

米国の紀行写真家Galen Rowell(ゲイラン・ローウェル)は、長期旅行やナショナルジオグラフィックに掲載する山歩きでは、徹底した軽量機材を心がけており、このレンズも前期か後期型を、入門用ニコン一眼レフと愛用していると公言していました。

ニコンでは、旧来の機械式の絞り変更絞りリングが付いた、入門機用の安価なズームとしては最後のもの。後継機は絞りリングが省略されたGタイプレンズが投入される。

また、以前のニコンでは、アナログのフィルム時代は、今のデジタル画像のようなレタッチではなく、各種効果フィルター活用が前提だったため、ユーザー利便性を考え、小型レンズのフィルター径が52ミリと統一されていたので、絶対そのサイズで作らなきゃいけないという宿命があった。が、この頃からフィルターの口径のランクによる統一がゆるくなってめちゃめちゃになり始めた。
ニコンの小型レンズで、フィルター系が52ミリではなく58ミリが採用された最初のレンズ。大きくすれば設計にも組み立てにも余裕が出るので、安価にレンズを作るためには52mmフィルター採用の小型にはできなかったんだろう。

ま、このレンズ、入門機用のキットレンズなので、アマチュアクラスはフィルターワークをしないので、各種レンズごとのフィルターサイズ統一にこだわらなくてもいいという判断が出たのかもしれない。

この当時としては、ズームレンズでありながら、接写能力最短40センチと、優れていたほうだった(最初の7枚構成の一型は50センチ)。今では…ですが

マクロ撮影倍率は、1:3.8 クォーターマクロ相当まで行き、当時の廉価ズームとしてはそこそこ頑張っている


カメラ側のモーターで動かすAF方式なので、AFはカメラ側の性能に依存。上級機なら猛烈に早い。ただし現在のニコンの入門機ではAFはできないし、D3500では露出計も動かない罰ゲーム。
周辺減光は28ミリ時に若干あるくらいで非常に優秀(というか、この項目では現在もトップクラスの性能)
歪曲収差は35ミリ以下の広角で4%前後と、結構出る。
ただし、歪曲が1%ほどになる35ミリからさらに望遠側にズームしていくと歪曲はどんどん減少し、80mm側まで行くと、ほぼ歪曲がでない優れた性能。
絞り開放はコントラストが低いので、撮影条件と環境によりけりで、ゆるく見えるが、F8に絞ればごく隅(一般的な撮影では極隅に写真の主題は持っていかないのでOK)を除きほぼ満足。
逆光に割と強い

夜景で光源をぼかすと、やっぱり、非球面レンズを使っているので玉ねぎがじゃまになることもある (記述は間違いだったので訂正)

ズームレンズだが、レンズが単焦点レンズみたいに、たったの8枚で構成されているため、レンズ枚数の少なさゆえ、ヌケが良い。更にレンズ枚数を少なくした後継の、28-80mm F3.3-5.6G(なんと6群6枚でズームレンズとした)とともに、いかに少ないレンズの枚数でズームレンズを作るかが課題だった、ニコンの当時の実験レンズでもあった。

重量公称で250グラム。徹底したコストダウンが行われ、これがニコンかというくらいに駆動部分とか品質が安っぽい。間違っても6千円の価値は中古でもない。
ただし、すんごく写りが悪いということもなく、一段絞れば、これが昔の格安レンズで、中古で4000円のレンズかという写りをする、買うなら4000円以下なら全然あり。

中古市場では捨て値かジャンククラスの扱いをされている状態なので、その中古値段からはちょいと絞りを絞れば、信じられない写りだと絶賛されますが、仮に今でも3万円という話なら、今更のレンズですね。
当方としては各社ミラーレスにつけて遊ぶ、中古のなんちゃってオールドレンズ的な格安レンズとしては、MFの操作性も我慢でき、アオリアダプターを付けても驚異のアオリに余裕のあるイメージサークルがある。更に52ミリフィルターが使え、よりコンパクトな。
Nikon AF 28-70mm f/3.5-4.5D
の方がおすすめです。

Ai AF Zoom Nikkor 28-80mm f/3.5-5.6D <NEW>
の描写も悪くはないですが、コストダウンが過ぎて安物感丸出しなのは仕方ないとしても、マニュアルフォーカスのMFリングがベアリングとかちゃっちすぎるんでね。

まあ、両方とも最短撮影距離が30センチくらいだったら理想ですが。

Autofocus (AF) Zoom Nikkor 28-80mm f/3.5-5.6D MACRO
https://www.mir.com.my/rb/photography/companies/nikon/nikkoresources/AFNikkor/AF2880mm/index.htm

Nikon 28-80mm f/3.5-5.6 AF-D
(made 1999-2001)
© 2004 KenRockwell.com

https://www.kenrockwell.com/nikon/2880.htm

サンプル

Nikon AF 28-80mm f/3.5-5.6D : Specifications and Opinions Juzaphoto

https://explorecams.com/photos/ZOkLyCjvvJ?lens=af-zoom-nikkor-28-80mm-f-3-5-5-6d

https://explorecams.com/photos/AKXR2mOkpR?lens=af-zoom-nikkor-28-80mm-f-3-5-5-6d

https://explorecams.com/photos/HN2n213Qkw?lens=af-zoom-nikkor-28-80mm-f-3-5-5-6d

Nikon AF Nikkor 28-80mm f/3.5-5.6 AF-D (II) Review

01/08/2015 – 02:33 Ivan K, Lens Beam

https://lensbeam.com/lens-reviews/nikon-af-nikkor-28-80mm-f35-56-af-d

ニコンはかつて、用途と種類に応じ、フィルターサイズを統一するという、自社基準の制約の中で設計者は苦労してレンズを作っていた。

ニコンが、フィルムカメラ時代は必須だったフィルターワークの利便性のために、小型や一般スナップクラスのレンズには、52ミリサイズのフィルターがつけられるサイズで、しかも満足の行く光学設計を出すレンズ、という、電子設計技術もまだまだで、使えるガラスの種類も少なく、今よりもっと厳しい時代には、設計にはもっと厳しい条件が課されていたわけです

最高の性能より、現場での使い勝手のためにフィルターサイズの52mm統一が優先の時代に作られたレンズが、今もニコンが残している多くのDレンズ、MFレンズなわけです。

[ニッコール千夜一夜物語 第七十一夜 Ai Zoom Nikkor 35-105mm F3.5-4.5S]ニコン
https://www.nikon-image.com/enjoy/life/historynikkor/0071/index.html

もちろん、光学性能の目標、大きさの目標、その他多くの制約条件がありました。特に重い制約が「アタッチメントサイズ52mmφ必達」でした。御存じのとおり当時のニッコール交換レンズは、アタッチメントサイズを出来うる限り52mmφに統一していました。これが実はすごい足かせだったのです。35-105mmズームレンズは、当時の商品企画では常用標準ズームという位置付けでした。当然フィルターサイズは52mmΦだ!ということになったのです。」上記ニコン記事より引用

Nikon AF 28-80mm f/3.5-5.6D : Specifications and Opinions

JUzaphoto